It's a beautiful day

取るに足らない、ささやかな出来事について

傘をさすタイミング

タイミングって難しいけど、最近難しいと思うのが傘をさすタイミングだ。言い換えると、傘をいつさせばいいのかの判断が難しいのだ。

雨が降ったらさせばいいじゃない、とあなたは言うかもしれない。
でも、雨というのはそんな、善か悪か、丁か半か、みたいな二元論で語れるようなものではない。
晴れてたのに、次の瞬間にどじゃあっと降り出して、傘をさすのが間に合わなくてびしょびしょになるって、日本ではあまりない。
「雨が降ってない」と「雨が降ってる」の間には無限のグラデーションが広がっているのだ。

 

例えば、道を歩いている。まだ雨は降っていないので、これを「降ってない」フェイズと呼ぼう。
そのうちに、最近広がってきた額の生え際に雨粒がポツリと落ちたら、それは「あれ、雨?」フェイズだ。
もう少し歩いてると、雨粒がポツリポツリと落ちて来る、そしたら、「あ、雨だ」フェイズの到来だ。
もっと雨粒が多くなると、今度は足早になって、いよいよ「降ってきた」フェイズとなる。
もっと細かく書くと、無数のフェイズがあるのだけれど、問題はフェイズの定義ではなくて、そのフェイズのどこで傘をさすのが正解なのか、ということなのだ。

早い段階で降りかたがクレッシェンドしてくれれば、傘をさすという決断も容易だけど、じわじわ雨脚が強まるタイプの降りかたをする場合は、折りたたみ傘を取り出すのをぐすぐす遅らせることになり、結局家に到着する頃には、割と濡れていることになったりする。

なら、そんなめんどくさいこと言わずに、早めにさしたら、という向きもあろう。
早めにさすというのは、「あれ、雨?」フェイズとか、「あ、雨だ」フェイズでさしてしまうということだ。そこには男の沽券がかかっているような気がする。
こんな小雨でもさすのか俺という男は、ということだ。

あと、もしかするとこれが一番重要な気もするんだけど、傘が濡れるのが嫌なんだと思う。ぽつぽつ雨が降っていても、家まで傘を使わずに帰ることができたら、なんとなく得した気分になるのだ。きっとみんなそうじゃないかな。

つまり、傘をいつさすかという問題は、男のプライドの大きさと器の小ささのせめぎ合いなのではないだろうか。