It's a beautiful day

取るに足らない、ささやかな出来事について

話好きという人種

Talking

全く知らない相手にも平気でグイグイ話しかけてくる人たちがいる。
もちろん、それは悪いことではない。
とはいえ、話好きも度が過ぎると迷惑になる。

 20代の頃、当時付き合ってた女性と鎌倉に日帰り旅行に行ったことがある。たしか横浜から鎌倉行きの電車に乗ったのだけど、幸運なことに車両はガラガラで貸切のような状態だった。ついてるね、とか言いながら対面式の座席に隣り合わせに座り、窓の外を駆け抜ける景色を二人で見ていた。
途中のどこかの駅で、おばさま4人組が乗ってきた。
おばさまの一人がいそいそと近づいてきて、ぼくたちが座っている対面の座席に「あ、ここ空いてるわ」と言って座った。他の座席は全部空いていたのに。
なぜなのか。
たぶん、話好きなのだろう。そうなのだろう。

40歳をすぎたある日、カフェでひとり本を読んでいた。
隣には70過ぎくらいの老婦人が座っていた。
なんとなくその老婦人がそわそわしている気配が伝わってきて、そのあとしばらくしてこちらに話しかけてきた。
「今度、銀座で歌劇があるんだけど、一緒に行かない?」
いや行かないから。
これも話好き、なのか?

スーパーでこんな光景を目撃した。
家族連れで来店している上品な老婦人に、一人で来ているらしい少しくたびれた老婦人が話しかけた。知り合いなのかな、と思っていると、くたびれてる方が「わたし82」となんの脈絡もなく告げた。年齢なのだろう。ということは知り合いではないのか。1、2分話していただろうか、話が終わり家族に追いついた上品な方が娘に話しの内容を伝えているのが聞こえた。どうやら、短い時間の間に相手の家族構成や孫の名前まで仕入れたらしい。
間違いなく、話好きだ。

なんとなく、話好きの正体が見えてきたような気がする。
たぶん、話好きの人たちは1日の最低アウトプット量が決まっていて、足りない時は誰でもいいから話したくなるのではないだろうか。
つまり、寂しさを解消する手段なのかもしれない。

ということは、話好きだからと言って、相手の話を聞くのが好き、とは限らないのだ。
女性同士の会話を聞いていると、お互いに自分の話ばかりしているのに、とても楽しそうにしていることがよくある。最低アウトプット量を満たすための活動なのだ。

先日、電車に乗っていたおばさま軍団が冬の寒さ対策の話をしていて、そのうちの一人が、わたしはユニクロのミートテックを着ているから寒くない、ミートテックいいわあ、と言い出したら、全員がミートテックいいわねえ、と口々に言い出した場面に出くわした。なんの疑問のなく「ミートテック」と言っているということは、相手の話を聞いているようでちゃんと聞いてないということの証明である。

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