It's a beautiful day

取るに足らない、ささやかな出来事について

深夜のカップル

あと少しで終電だぞという時間帯、新宿駅から数分の距離にある地下のドトールで、コーヒーを飲みながら本を読んでいた。なぜそんな時間にそんな場所で本を読んでいたのかというと、暇を持て余していたからだ。家に帰ってもひとりなので、誰かほかの人たちがいる場所にいたかったのだと思う。

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女王

油で黒く汚れた換気扇がゴオゴオと音を立て、狭い店内に充満したタバコと焼き鳥の煙を吸い込みダクトから外に吐き出している。そのダクトは開けっぱなしの引き戸のすぐ横にあり、吐き出されたばかりの煙は戸外の澄んだ空気を楽しむ間も無く店の入り口からまた吸い込まれてくる。

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寿司の出前をとる

友人が何名か朝から家に来て、楽しい時間を過ごし、さて遅めの昼ご飯でも食べるかとなり、近所の寿司屋に出前を頼むことにした。


この寿司屋に頼むのは初めてのことだったので、美味しいのかどうか不安を感じていたのだけど、そんなのとは違うところに落とし穴が隠されていた。

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石を積む

古いお寺の脇に、数え切れないほどの蝉が鳴き競っている森を抜ける道がある。その道を20分ほど登ると、少しだけ開けた展望台に着く。展望台といっても登り道の曲がり角を膨らませて整備してある「ちょっと街が眼下にのぞめる」程度のところだ。その上、景色がいいのは冬の話で、春から秋にかけては葉が視界を隠してしまうため展望は望めず、ただ荒い息を整えるだけの場所になる。

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